勤続5年で無期限雇用
5年超勤務したパート・契約社員は申し出れば期間を定めない雇用に。会社側がとるべき対応とは・・・。
茨城の社会保険労務士有限会社中川式賃金研究所 中川清徳
- 労働契約法改正。勤続5年超えで無期限雇用へ
- 法律改正による会社への影響
- 法律の抜け穴
- 労働条件は有期雇用契約を理由とした不合理な格差をつけない
- そもそも雇用契約期間は
- 貢献度がある場合は期間の定めのない契約にする
- パートの勤続5年超えは3割
2. 法律改正による会社への影響
- 雇用調整が容易でなくなる
- 人件費の増加
- パートの雇用管理が複雑になる
雇用調整が容易でなくなる
パートを有期契約にしている最大の目的は、経営が苦しくなったときの人員削減にあります。
有期契約であれば期間満了で雇い止めができます。トラブルが起きやすい解雇ではありませんので、労使ともにストレスがありません。
法改正により、5年を超えたパートは本人が希望した場合、無期限の雇用、つまり本人が退職しない限り定年まで雇用することになりますので、いざというときの雇用調整が難しくなります。
人件費の増加
パートの雇用を定年まで継続することになると、期間満了による雇い止めができませんので、変動費的であった人件費が固定費的になり、人件費が増加します。また、長期雇用は昇給等でしだいに賃金が上昇する傾向にあり、それによる人件費が増加します。
パートの雇用管理が複雑になる
5年超のパートを雇用しないとしたら、勤続年数が5年を迎えるパートを把握し続けなければなりません。パートの人数が多い場合はこの管理費がかさみます。
また、5年超えのパートを雇い止めにするか無期限パートにするかの判断をしなければなりません。その基準を示すことも必要になるでしょう。雇用管理がさらに複雑になります。
3. 法律の抜け穴
- 勤続5年以上のパートを雇い止め(雇用契約の更新をしない)をしても違法ではない
- 雇い止めしたパートは6ヵ月が経過したら、新規に雇用しても違法ではない
改正労働契約法はまだ発展段階にあり不十分です。法律の抜け穴は言い過ぎかもしれませんが、次のような方法をとれば現在と変わらないパート雇用ができます。
勤続5年以上の雇用契約の更新をしない
改正労働契約法の趣旨は、パートを期間の定めのない雇用契約へ促進することでパートの安定的な雇用を確保することにあります。
しかし、法の趣旨に合いませんが勤続5年となったパートを雇い止めしたとしても違法ではありません。
雇い止めしたパートは6ヵ月が経過したら、新規に雇用ができる
勤続年数が5年となったパートを雇い止めにしたとしても、6ヵ月が経過したら同じパートをまた雇用できます。
6ヵ月間のブランクがあればよいのでその間は他社で働き、6ヵ月後あるいは1年後に再雇用するような運用が頻発することが予想されます。(パートの立場を考慮すると好ましいことではありませんが)